わたしたち蒼龍葡萄酒の創業は、1899年。時は明治。
日本は文明開化の真っ只中でした。「文明開化はワインから」を合い言葉に、日本で本格的なワイン醸造が始まったのも、
この時代のことです。当時、現在の勝沼町にあった「祝村」の有志が集まり、大日本山梨葡萄酒会社を設立。2人の青年、
高野正誠と土屋龍憲を本場フランスへ派遣しました。2人は醸造技術を習得して、日本のワイン造りの先駆者となったのです。
その両名と蒼龍の創業家とは親戚関係。同時代に蒼龍も会社を立ち上げました。
つまり、日本でのワイン醸造の歴史と同じくらい長い歴史をもつワイナリーが蒼龍葡萄酒です。
ワイン王国勝沼でも、最も伝統あるワイナリーの1つに数えられています。
創業当時の蒼龍はごく小規模なワイン造りを営む、農家の共同醸造会社でした。
村の農家がぶどうを持ち寄って、村の農家が必要な分だけを醸造し、売り買いするという地元愛好家のコミュニティが
出発点だったのです。その後、ワインの認知が徐々に広がってきた昭和18年。
現会長を務める鈴木重富が農家がもつ株をすべて買い取り、個人免許として本格的なワイナリー経営を開始。
そこから蒼龍ワインが市場に出回るようになったのです。
「自分の得より、相手の得になることをする」が、蒼龍が創業以来守りつづけている信条。利益追求に走らず、
顧客満足に徹する企業姿勢は着実にお客様の信頼を獲得し、勝沼に蒼龍ありと知られるほど、引き合いが増え始めました。
また現在で言うPB商品や調味料としての素材提供にも積極的に参画し、着実にワイン造りの経験値を蓄えてきました。
1996年。その「勝沼の蒼龍」が全国区で知られるようになる大きな転機を迎えます。
現在、蒼龍の主力商品の一つをなす「無添加わいん」の販売を始めたのです。
それまで酸化防止剤 や合成保存料など一切使用せずに醸造したワインはあったものの、濃縮果汁を使って醸造する製法は全国初。
生果を遣う手法では難しかった年間を通じての安定供給を実現しました。当時、日本は空前の赤ワインブーム。
時代の潮流に乗って「無添加わいん」は大ヒットとなり、蒼龍は新しいワインのジャンルを切り拓いたパイオニアとしての
地位を築くことができました。この時期に新社屋や醸造設備が一通り整い、現在の蒼龍葡萄酒の外観ができあがったのです。
そして2000年代後半から現在。わたしたちは新しい醸造責任者を迎え、甲州に特化したワイン造りに挑んでいます。
結果、アジアにおける最大規模のワインコンクール“ジャパン ワイン チャレンジ2006”では「リザーブ甲州2005」が
甲州ワイン部門で最優秀賞・最優秀国産ワイン賞を受賞。2年後には“ジャパン・ワイン・コンペティション2008”で
「リザーブ甲州2006」が最優秀カテゴリー賞、そして続く“ジャパン・ワイン・コンペティション2010”では
「勝沼の甲州 樽熟成 2009」が金賞を受賞。
翌年のジャパン・ワイン・コンペティション2011で「シトラスセント甲州2010」が部門最高賞・金賞を受賞いたしました。
百余年に渡って蓄積してきた技と経験値がまた大きく花開かせています。
このような高品質なワインも世に発信しつつ、初心者にも喜ばれる定番ワインも安定的に提供していく。
道は一見二つに見えるかもしれませんが、じつは目的地はひとつ。
一人でも多くの顧客満足の追求をめざして、蒼龍は今日も歩みつづけています。